おりも みか
製造業ライター
SNS上で、クッキーやケーキにアイシングやチョコレートでアニメキャラクターなどを描写した動画や写真が拡散されており、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
筆者にも子どもがいるので、誕生日ケーキに子どもたちが好きなキャラクターを描いたプレートを、クッキーやチョコレートを使って手作りしたことがあります。
しかし、この手描きキャラプレート、なかなか手間がかかります。個人の技量にもよるかと思いますが、幼児向けの動物のキャラクターならともかく、成長した子どもが好む人物や特撮などのキャラクターはとても難しいです。
そこでご紹介したいのが、フードプリンターです。
お菓子に美しいデジタル印刷を
フードプリンターとは、食用インクを使用するインクジェットプリンターです。
フードプリンターの登場により、クッキーやマシュマロ、マカロンなどのお菓子に美しいデジタル印刷をすることができようになりました。
表面がある程度平滑であればさまざまなものに印刷できるようです。
また、画像データさえあれば、イラストだけではなく写真の印刷も可能です。
フードプリンターで素敵なデザインを印刷!Mastermind公式サイト
http://www.mastermind.co.jp/new/lp/food_printer/
シンプルなお菓子でも、フルカラー印刷をすることでおしゃれさや可愛さが大幅にアップ。
お土産としてご当地キャラクターや風景写真などを印刷したものも人気です。
ノベルティとして企業の情報を載せたり、二次元バーコードを印刷したりすれば広告媒体としても使用できます。結婚式の引き出物など、特別感のあるプレゼントにも最適ですね。
アイデア次第で、用途はどんどん広がります。
プリントを施すことでデザイン性を高め、新しい顧客層に訴求することが期待できます。
印刷方法には、直接素材に食用インクで印刷する方法と、オブラートのような可食シートに印刷し、食材に貼り付ける方法があります。
フードプリンターで印刷されたバームクーヘンを食べてみました。
バームクーヘンなので、上部は粉砂糖のアイシングかと思っていましたが、メレンゲを使った白く滑らかな生地で、甘くて少しぺたぺたとしています。
その上にフードプリンターで動物のイラストが印刷されています。
バームクーヘンの味や食感を阻害しないように考えて作られている印象です。
印刷面は滲みなどもなく猫の細かい柄がきれいに印刷されていました。
インク自体に匂いや味はなく、おいしいバームクーヘンです。これならばさまざまな食材に活用できそうです。
我が家の子どもたちも型抜きされている可愛いパンダや猫のイラストに大興奮で、無地のところには目もくれず、動物が印刷された部分だけを食べていました。(残った部分は親がおいしくいただきました)
さまざまなフレーバーがありますが、どれもやさしい風味で、偏りなく人気がありました。
お友達を呼んだときにも、楽しくおいしいおやつの時間を過ごせそうです。
可食シートに印刷されたチョコレートも食べてみましたが、こちらもシート自体には特に味や風味はなく、気になりません。
食材や用途によって、使い分けることができそうです。
お菓子だけにとどまらない!
フードプリンターが印刷できるのはお菓子だけではありません。
春巻きの皮などに印刷すれば、簡単にお料理をデコレーションすることができます。
インクの特性上、水分の多いものに印刷すると滲んでしまいますが、可食シートなどを使って工夫すれば、パーティーやコラボカフェなどでスペシャルなメニューが演出できそうです。
ハムや食パン、さらにパスタやラザニアシートなどにデザインが施されていたら、意外性があって新鮮な驚きを提供できるのではないでしょうか。
ドリンクにも印刷!
ラテアートをご存じですか?
エスプレッソの上にスチームしたミルクを注ぎ、カップの表面にさまざまな模様を描く技法です。白くふんわりとしたミルクの泡を使って立体的な動物をデコレーションしたものや、ピックや着色料などを用いてアニメキャラクターを描いたものなども、SNSで見ることができます。
ステンシルシートを乗せて、ココアパウダーなどで単純なイラストを描くこともできますが、なんとラテアートにもデジタル印刷が可能なのです。
ラテアート・プリンター CAFE PRI カフェプリ | 飲み物や食べ物に写真やイラストを思いのままにプリント
エスプレッソだけでなくビールの泡に印刷してみるなど、可能性が広がりそうです。
機体もそれほど大きくなく、スマートフォンなどを利用して操作できるので、気軽に使うことができます。
デジタル印刷の可能性は無限大
こうしたフードプリンターは、ここ数年で急激な進化を遂げています。
「SNS映え」が重視されるという世相も大きく影響しているでしょう。現代では大がかりな仕掛けよりも、こうした「自分だけのオリジナル」や「ちょっとした特別感」が好まれているのかもしれません。
インクのコストなどまだまだ課題はありますが、フードプリンター自体は筐体もそれほど大きくなく、簡単に操作できるものも多いため、大きな工場で大量生産というよりは、個人店やイベントでの活用を想定しているようです。
フードプリンターで使用されるインクは基本的に無味・無臭ですが、今後はフレーバーを付けることで、さらなる付加価値を持たせることができるのではないでしょうか。
フードプリンターの進化から、今後も目が離せません。