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世界のデジタル化ニュース

アナログとデジタル。そして、故郷への深い愛

イタリア トスカーナ州 シエナ。旧市街地が世界遺産として登録されているこの街で、Francesco Braviさんは、特産品のトラバーチン(大理石)とUVフラットベッドプリンターを組み合わせたユニークで革新的な内装材や工芸品の数々を創り出しています。

「わたしがInk Arti Grafiche社を立ち上げたのは2011年のことです。当初は、紙やPVC、衣類などへカッティングやプリントを行う伝統的なタイポグラフィが中心でしたが、年々仕事の幅を広げ、今では石を使った作品をメインに手掛けるようになりました。」

Shop L'Era della Pietra

Francescoさんの仕事の大きな特徴は、アナログとデジタルを組み合わせることで、今までにない新しいものを創り出すこと。彼が“研究室”と呼ぶ仕事場には、数えきれない程の手仕事用の機材・工具と、UVプリンターをはじめとする最先端のデジタル機器が並んでいます。

アナログの道具
UVプリンター

「もともと職人技の世界への憧れがありました。職人技とは“手で作る”ことですから、仕事の一部はアナログの道具で行われます。アナログとデジタル、このふたつの相補的な関係があってこそ、わたしのものづくりは成り立っているのです」と語ります。

Francescoさんが製作する最も印象的なものが、トラバーチンにUVプリントを施した作品の数々。これらの作品の誕生には、故郷であるシエナが大きく関係していると言います。

「シエナという場所は、わたしの近年の作品の方向性に間違いなく影響を与えています。そして私の個人的な家族の歴史も。シエナはイタリアでも有数の大理石産地のひとつです。わたしの祖父母は、この地域のほとんどの人々と同様に、採石場で働いていました。トラバーチンに対する情熱はこのことから来ています。」

Francesco Bravi
UVプリントされた作品例

「わたしの住んでいるこの地域では、誰もが採石場で過ごした年月について語り、トラバーチンを至るところで見つけることができます。わたしが目指しているのは、このような歴史ある工芸品を、より現代的な道具とデジタル機器を使って再定義することなんです。UVプリンターはわたしの仕事に欠かすことができません。そのおかげで、トラバーチンの加工において、革新的でユニークな一連の作品を生み出すことができました。」

また、絶え間なく繰り返されるチャレンジが、自分のクリエイティブの原動力になっていると言います。

「まだまだ試してみたいことがたくさんあります。わたしは研究室で、お客様から依頼された仕事だけでなく、新しい技術を試し、作り、変化させ、発明することに取り組み、それを心から楽しんでいます。この繰り替えしがなければ、今のわたしの仕事の姿は想像することができません。これからも常に自分を向上させるために、新しいチャレンジを続けていきたいと思っています。」

アナログとデジタルの融合、そして故郷への深い愛情が、トラバーチンの可能性と新たな未来を切り拓いていくことでしょう。

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