はじめに
人々のライフスタイルや価値観の変化を背景とした消費者ニーズの細分化により、企業が提案する商品やサービスも多様化しています。
ラベル製作においても、ブランドオーナーが商品の品目やデザインのバリエーションを増やす傾向にあり、多品種少量生産が加速しています。またこの傾向は、数ある商品の中から手に取ってもらうための差別化の要素として、箔押しやエンボス、スポット光沢仕上げなどのユニークでプレミアムな表現への重要度も高めています。また、ECサイトでのオンライン販売を中心に、商品やギフトのラベルを個人向けにパーソナライズすることで、より特別な購買体験を演出するサービスも増えています。
こうした変化の中で導入が進んでいるのが、多品種少量生産に最適なデジタル印刷機です。オフセットやフレキソ、グラビア印刷に代表されるアナログ印刷機のように製版工程(印刷する原稿をフィルムに印字し、金属板や樹脂版に転写する工程)が必要なく、PDFなどのデジタルデータをそのまま使い、小ロットでタイムリーに印刷できることが最大の特長です。
- ライフスタイルや価値観の多様化
- 細分化するニーズ
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ブランドオーナー
自社商品をプロデュース・製造し、販売する企業
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食品・飲料
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嗜好品
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日用品
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化粧品
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医薬品
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ペットグッズ
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自社商品の多品目化パッケージデザインの工夫
多品種少量生産の流れが加速
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ターゲットとなる
顧客に手に取って
もらえるように
デジタルラベル印刷で用いられるインク・トナーの売上推移と今後の予測
出典:Source: Color Digital Label Printer Market Forecast, 2017-2024; Keypoint Intelligence 2020
デジタルラベル印刷の事例
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数量・期間限定商品
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パーソナライズされたギフトラベル
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数の限られたローカルブランド
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厳しい環境下で使うコーションラベル
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販売促進キャンペーンラベル
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多言語対応のバージョニング
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シリアル番号などの可変 (バリアブル) 印刷
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ラベルを感じさせないデザイン
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SNS上で目を引くデザイン
デジタル印刷のメリット
シンプルなプロセスで1枚からのオンデマンドプリントに対応できるため、
ラベル製作に関わるさまざまな人々にメリットをもたらします。
ブランドオーナーのメリット
- 必要な時に必要な数だけ印刷できるので、在庫過多による廃棄ロスを最小限にとどめ、サプライチェーンの最適化を実現。
- お客様一人ひとりに対する提案や、期間限定商品への対応をタイムリーに展開。
- 急な仕様変更やデザイン変更も短いリードタイムで反映。
印刷会社のメリット
- より短納期での納品が可能。
- 1枚からのパーソナライズや、小ロットのオーダーにも柔軟に対応。
- サンプル出力やモックアップ製作の対応力向上により、提案力がアップし、ビジネスの幅が拡大。
- スポットニス、テクスチャ、ホワイト、デジタル箔転写など、特殊印刷によるプレミアムな表現が可能。
- 印刷版の管理コストやスペースを削減。
- 熟練度が求められるインクの調色作業が不要。
- 印刷オペレーターや技術者が働きやすい快適な環境を実現。
デザイナーのメリット
- 生産時に使用する本紙を使ったリアルなモックアップを1点からすぐに製作できるため、クライアントに訴求力の高いプレゼンテーションが可能。
- 特殊印刷を用いたデザインパターンも、最終の仕上がりと同じ状態で検討可能。さまざまなバリエーションのデザイン試作を繰り返し行える。
- デザイン提案の段階から最終の仕上がり具合や品質をクライアントに提示できるため、承認までの時間短縮とデザイン修正のリスクを低減。
デジタル印刷の種類
ラベル製作で使用されるデジタル印刷機には、その使用目的に応じてさまざまな種類が存在し、複数のメーカーから販売されています。
代表的な方式としては、トナーを使用した「電子写真方式」と、「インクジェット方式」の2つがあります。電子写真方式はHP IndigoやXeikonといったブランドに代表されるデジタル印刷機で、早くから業界内でも導入が進んでいます。一方、インクジェット方式はインクをプリントヘッドから吐出して印刷します。元々は簡易校正や大判ポスター、屋外広告製作用途に使われてきましたが、近年UV硬化型インクの発展により、印刷できる対象物が飛躍的に増え、さまざまな業界や用途での導入が進んでいます。
デジタル印刷機のカテゴリとポジション
UVインクジェットプリンターの対応力
インクジェット方式のプリンターは、搭載されたプリントヘッドがインクを吐出して印刷を行います。また、使用するインクの特性、色、能力が重要な要素となります。食品用パッケージなど、安全性が求められる場合は水性インクが使用されることが多いです。一方、印刷できる用紙やフィルムの種類が豊富、印刷後すぐに硬化するため乾燥工程が不要、厚盛りやテクスチャ、スポットニス、箔押しなどの加飾工程との親和性が高い、などの理由から、UV硬化型インクも近年高い注目を浴びるようになっています。