はじめに
人々のライフスタイルや価値観の変化を背景とした消費者ニーズの細分化により、企業が提案する商品やサービスも多様化しています。
パッケージ製作においても、ブランドオーナーが商品の品目やデザインのバリエーションを増やす傾向にあり、多品種少量生産が加速しています。またこの傾向は、数ある商品の中から手に取ってもらうための差別化の要素として、箔押しやエンボス、スポット光沢仕上げなどのユニークでプレミアムな表現への重要度も高めています。
また、ECサイトでのオンライン販売を中心に、商品やギフトのパッケージを個人向けにパーソナライズすることで、より特別な購買体験を演出するサービスも増えています。
- ライフスタイルや価値観の多様化
- 細分化するニーズ
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ブランドオーナー
自社商品をプロデュース・製造し、販売する企業
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食品・飲料
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嗜好品
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日用品
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化粧品
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医薬品
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ペットグッズ
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自社商品の多品目化パッケージデザインの工夫
多品種少量生産の流れが加速
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ターゲットとなる
顧客に手に取って
もらえるように
出典:石屋製菓
こうした変化の中で導入が進んでいるのが、多品種少量生産に最適なデジタル印刷機です。オフセットやフレキソ、グラビア印刷機のように製版工程(印刷する原稿をフィルムに印字し、金属板や樹脂版に転写する工程)が必要なく、PDFなどのデジタルデータをそのまま使い、小ロットでタイムリーに印刷できることが最大の特長です。
デジタルパッケージ印刷市場(西ヨーロッパ) -印刷枚数推移予測 2019 – 2024
(出典:German Sacristan、 WE Digital Production Printing Application Forecast: 2019-2024、Keypoint Intelligence、 2021)
デジタルパッケージ
印刷の事例
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軟包装
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紙器パッケージ
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カスタマイズパッケージ
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木箱
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通販パッケージ
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商品ラベル
付加価値の高い特殊印刷
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スポット光沢・マットニス引き
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箔転写
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厚盛印刷
デジタル印刷のメリット
シンプルなプロセスで1枚からのオンデマンドプリントに対応できるため、
パッケージ製作に関わるさまざまな人々にメリットをもたらします。
ブランドオーナーのメリット
- 必要な時に必要な数だけ印刷できるので、在庫過多による廃棄ロスを最小限にとどめ、サプライチェーンの最適化を実現。
- お客様一人ひとりに対する提案や、期間限定商品への対応をタイムリーに展開。
- 急な仕様変更やデザイン変更も短いリードタイムで反映。
印刷会社のメリット
- より短納期での納品が可能。
- 1枚からのパーソナライズや、小ロットのオーダーにも柔軟に対応。
- サンプル出力やモックアップ製作の対応力向上により、提案力がアップし、ビジネスの幅が拡大。
- スポットニス、テクスチャ、ホワイト、デジタル箔転写など、特殊印刷によるプレミアムな表現が可能。
- 印刷版の管理コストやスペースを削減。
- 熟練度が求められるインクの調色作業が不要。
- 印刷オペレーターや技術者が働きやすい快適な環境を実現。
デザイナーのメリット
- 生産時に使用する本紙を使ったリアルなモックアップを1点からすぐに製作できるため、クライアントに訴求力の高いプレゼンテーションが可能。
- 特殊印刷を用いたデザインパターンも、最終の仕上がりと同じ状態で検討可能。さまざまなバリエーションのデザイン試作を繰り返し行える。
- デザイン提案の段階から最終の仕上がり具合や品質をクライアントに提示できるため、承認までの時間短縮とデザイン修正のリスクを低減。
デジタル印刷の種類
パッケージ製作で使用されるデジタル印刷機には、その使用目的に応じてさまざまな種類が存在し、複数のメーカーから販売されています。
代表的な方式としては、トナーを使用した「電子写真方式」と、「インクジェット方式」の2つがあります。電子写真方式はHP
IndigoやXeikonといったブランドに代表されるデジタル印刷機で、早くから業界内でも導入が進んでいます。一方、インクジェット方式はインクをプリントヘッドから吐出して印刷します。元々は簡易校正や大判ポスター、屋外広告製作用途に使われてきましたが、近年UV硬化型インクの発展により、印刷できる対象物が飛躍的に増え、さまざまな業界や用途での導入が進んでいます。
紙器パッケージ用デジタル印刷機(B2サイズ)
また「インクジェット方式」は、「マルチパス式」と「シングルパス式」に分かれ、さらに、使用するインクタイプも「水性」あるいは「UV硬化型」などから選択できます。一般的に、グラビアやオフセットといった既存の方式の印刷機を補ったり、置き換えたりするほどの生産性を求める場合は、「シングルパス式」が適しますが、高額な設備投資と広い設置面積が必要になります。一方、「マルチパス式」は、生産性はそれほど高くありませんが、比較的サイズが小さく、低コストで高画質な印刷が可能です。そのため、パッケージ印刷においては、デザイン校正やモックアップ製作、撮影用のサンプル製作、パーソナライズなどの用途に最適です。
マルチパス方式
プリントヘッドが左右に動き、搬送される用紙に、
インクを複数回重ねながら印刷を完成させる。
シングルパス方式
プリントヘッドは固定。
搬送される用紙に、1回のインクの吐出で印刷を完成させる。
UVインクジェットプリンターの対応力
インクジェット方式のプリンターは、搭載されたプリントヘッドがインクを吐出して印刷を行います。また、使用するインクの特性、色、能力が重要な要素となります。食品用パッケージなど、安全性が求められる場合は水性インクが使用されることが多いです。一方、印刷できる用紙やフィルムの種類が豊富、印刷後すぐに硬化するため乾燥工程が不要、厚盛りやテクスチャ、スポットニス、箔押しなどの加飾工程との親和性が高い、などの理由から、UV硬化型インクも近年高い注目を浴びるようになっています。